時代が求めた ぎぼむすヒット
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180919-00000349-oriconbiz-ent
綾瀬はるか主演の『ぎぼむす』こと『義母と娘のブルース』(TBS系)の最終回が19日に放送され、自己最高視聴率の19.2%で有終の美を飾った。初回11.5%の視聴率から二桁台をキープしながら、第5話以降は右肩上がりに視聴率を伸ばし、最終回で今期民放連続ドラマトップの視聴率をマーク。TBS火曜夜10時枠としては『逃げ恥』以来のヒットと言われ、定番の医療、刑事ものが各期1位を獲得するなか、ホームドラマが健闘したことも話題になった。では、なぜ『ぎぼむす』がウケたのか。その理由を考察する。
【グラフ】後半90Pt台を推移する『ぎぼむす』満足度
■理由その1:継母(ままはは)ではなく義母(ぎぼ)だったから
『ぎぼむす』は、綾瀬はるか演じるバリバリのキャリアウーマンの主人公が、娘を持つ男性からプロポーズをされ結婚し、母親になろうと畑違いの家事や育児に一生懸命に奔走、義母と娘の愛と成長を描いた10年間の物語。ホームドラマを描きつつ、ヒットドラマの必需条件である「他にはない新しさ」がこのドラマにあったことがひとつ目のウケた理由にありそうだ。
その新しさのひとつが「キャリアウーマンの女性が義母になる」という設定。これがこれまでのドラマにはない女性像だった。現在は、女性の社会進出が進み、女性の生き方が多様化しているが、それであっても極めて稀な「キャリアウーマンの女性が義母になる」という設定に、当初は「現実的ではない」と思いつつも、現役ワーキングマザーが身近にいることが当たり前になりつつあるなかで、徐々に興味が増した視聴者も多かっただろう。
加えて、新しい義母と娘の交流もポイントだ。一般的にはマイナスイメージがある義母と娘の関係性の構築を新しい境地で描いたことは大きい。これの要因としては「継母(ままはは)」ではなく、あえて聞き慣れない「義母(ぎぼ)」と呼んだことで、これまでのイメージを払拭する効果もあったのではないかと推測する。
ドラマ満足度調査「オリコンドラマバリュー」に寄せられた視聴者からの声をみても、義母と娘の関係性が幅広い年代の女性層から共感を呼んだことがわかる。「義母と娘の掛け合いがおもしろい」(10代女性・神奈川)、「お母さんに良く似た性格に成長して微笑ましい」(20代女性・大阪)、「義母と娘のやりとりがほっこりする」(30代女性・埼玉)、「綾瀬はるかのキャリアウーマンな母親ぶりがよい」(40代女性・東京)、「義母と娘の関係が想像を超えていて楽しい」(50代女性・兵庫)と好意的に受け入れられた。
■理由その2:綾瀬はるか力と佐藤健効果
ヒットドラマの必須条件には、キャスト力も大きく影響する。先の「オリコンドラマバリュー」では、多くのドラマでさまざまな役柄になじんで自然な姿を見せる綾瀬はるかに対する評価の声が数多く寄せられた。また、第2章から中心人物となった麦田章役を演じた佐藤健に対する高評価も目立つ。佐藤健は放送中のNHKの朝の連続テレビ小説『半分、青い。』にも出演していることから、演技、役がらの比較を奇しくも楽しめることができたこともポイントになったようだ。
「綾瀬はるかさんがいつもとは違った役でとても新鮮。佐藤健さんが朝ドラとは違った雰囲気でとても良い」(40代女性・千葉)、「綾瀬はるかのハキハキとしているが、間を持ったしゃべり方など、几帳面な役を上手くこなしていると思う。佐藤健の『半分、青い。』とのギャップも面白い」(50代男性・東京)という声からもそれがうかがえる。
■理由その3:時代が求めるブルースだったから
『ぎぼむす』がウケた3つ目の理由は、「時代が求めるブルースが表現された」ことを挙げたい。テレビドラマの評価とは、放送されたタイミングがうまい具合に「時代の空気感」に呼応したかどうかにも左右される。
このドラマは、タイトルにもある「ブルース」がキーワードになっている。「孤独感から救い出すのは無償の愛」ということもメッセージになっている。一見すると満たされてみえるが、現在社会のなかで誰もが陥りがちな孤独。そんな時代の空気感と呼応するのがブルースであり、そんなブルース(の歌)が義母からも娘からもそれぞれ流れていることを感じることができた。
そして、それぞれの孤独が向かう先にあるのが、愛。幸せの価値が見えにくくなっている現代だからこそ、この亜希子のブルースが幅広く共感を得たのだろう。そうして、行き着いた答えが「無償の愛」であったことにほっこりした視聴者も多かったのではないだろうか。
視聴者からも「綾瀬はるかの役は感情のなさそうな役柄なのに、考えていることが伝わる」(30代女性・東京)、「綾瀬はるか演じる義母の一途で不器用な生き方が見ていてジーンとくる」(40代男性・千葉)といった評価の声が寄せられている。
もちろん視聴者によって、さまざまな感想がある。ただ、ここで挙げた3つの理由は、ヒットの基本を抑えながらも、巧みに視聴者の心をわしづかみにする大きな要因となっただろう。今期のドラマのなかで好結果の成績を残した『ぎぼむす』。続編を匂わした最終回の展開から、義母と娘からまた新たなブルースが流れることも期待したい。
(文:長谷川朋子)
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■理由その1:継母(ままはは)ではなく義母(ぎぼ)だったから
『ぎぼむす』は、綾瀬はるか演じるバリバリのキャリアウーマンの主人公が、娘を持つ男性からプロポーズをされ結婚し、母親になろうと畑違いの家事や育児に一生懸命に奔走、義母と娘の愛と成長を描いた10年間の物語。ホームドラマを描きつつ、ヒットドラマの必需条件である「他にはない新しさ」がこのドラマにあったことがひとつ目のウケた理由にありそうだ。
その新しさのひとつが「キャリアウーマンの女性が義母になる」という設定。これがこれまでのドラマにはない女性像だった。現在は、女性の社会進出が進み、女性の生き方が多様化しているが、それであっても極めて稀な「キャリアウーマンの女性が義母になる」という設定に、当初は「現実的ではない」と思いつつも、現役ワーキングマザーが身近にいることが当たり前になりつつあるなかで、徐々に興味が増した視聴者も多かっただろう。
加えて、新しい義母と娘の交流もポイントだ。一般的にはマイナスイメージがある義母と娘の関係性の構築を新しい境地で描いたことは大きい。これの要因としては「継母(ままはは)」ではなく、あえて聞き慣れない「義母(ぎぼ)」と呼んだことで、これまでのイメージを払拭する効果もあったのではないかと推測する。
ドラマ満足度調査「オリコンドラマバリュー」に寄せられた視聴者からの声をみても、義母と娘の関係性が幅広い年代の女性層から共感を呼んだことがわかる。「義母と娘の掛け合いがおもしろい」(10代女性・神奈川)、「お母さんに良く似た性格に成長して微笑ましい」(20代女性・大阪)、「義母と娘のやりとりがほっこりする」(30代女性・埼玉)、「綾瀬はるかのキャリアウーマンな母親ぶりがよい」(40代女性・東京)、「義母と娘の関係が想像を超えていて楽しい」(50代女性・兵庫)と好意的に受け入れられた。
■理由その2:綾瀬はるか力と佐藤健効果
ヒットドラマの必須条件には、キャスト力も大きく影響する。先の「オリコンドラマバリュー」では、多くのドラマでさまざまな役柄になじんで自然な姿を見せる綾瀬はるかに対する評価の声が数多く寄せられた。また、第2章から中心人物となった麦田章役を演じた佐藤健に対する高評価も目立つ。佐藤健は放送中のNHKの朝の連続テレビ小説『半分、青い。』にも出演していることから、演技、役がらの比較を奇しくも楽しめることができたこともポイントになったようだ。
「綾瀬はるかさんがいつもとは違った役でとても新鮮。佐藤健さんが朝ドラとは違った雰囲気でとても良い」(40代女性・千葉)、「綾瀬はるかのハキハキとしているが、間を持ったしゃべり方など、几帳面な役を上手くこなしていると思う。佐藤健の『半分、青い。』とのギャップも面白い」(50代男性・東京)という声からもそれがうかがえる。
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『ぎぼむす』がウケた3つ目の理由は、「時代が求めるブルースが表現された」ことを挙げたい。テレビドラマの評価とは、放送されたタイミングがうまい具合に「時代の空気感」に呼応したかどうかにも左右される。
このドラマは、タイトルにもある「ブルース」がキーワードになっている。「孤独感から救い出すのは無償の愛」ということもメッセージになっている。一見すると満たされてみえるが、現在社会のなかで誰もが陥りがちな孤独。そんな時代の空気感と呼応するのがブルースであり、そんなブルース(の歌)が義母からも娘からもそれぞれ流れていることを感じることができた。
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